濱口竜介プロスペクティヴ in Kansai 2013.6/29[sat]-7/19[fri]

FILMS 上映作品

  • THE DEPTHS

    THE DEPTHS

    2010年 / 121分 / HD(Blu-ray上映)/ カラー
    製作:東京藝術大学大学院映像研究科・韓国国立フィルムアカデミー / プロデューサー:原尭志、シム・ユンボ / 監督:濱口竜介 / 脚本:濱口竜介、大浦光太 / 撮影監督:ヤン・グニョン / 照明:後閑健太 / 整音:金地宏晃 / 美術:田中浩二 / 編集:山崎梓 / 助監督:菊地健雄
    出演:キム・ミンジュン、石田法嗣、パク・ソヒ、米村亮太朗、村上淳 ほか

    韓国人カメラマン・ペファンは日本滞在中に男娼のリュウをモデルとして見出すも、過酷な運命が二人を待つ。

    東京藝術大学と韓国国立映画アカデミーの共同製作。キャストだけでなくスタッフも混成チームという容易ならざる状況を、濱口は作品そのものの危うい魅力へと転化し、韓国/日本、ホモセクシャル/バイセクシャル/ヘテロセクシャル、大人/子供、金持ち/貧乏人、堅気/ヤクザといった境界線の上で登場人物達を漂流させる。

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  • PASSION

    2008年 / 115分 / HD(Blu-ray上映) / カラー
    製作:東京藝術大学大学院映像研究科 / プロデューサー:藤井智 / 監督・脚本:濱口竜介 / 撮影:湯澤祐一 / 照明:佐々木靖之 / 録音:草刈悠子 / 美術:安宅紀史、岩本浩典 / 編集:山本良子 / 助監督:野原位
    出演:河井青葉、岡本竜汰、占部房子、岡部尚、渋川清彦 ほか

    同級生の結婚を祝福する若者たち。しかしそこで男の浮気が発覚し、カップルは別々の夜を過ごすことになる。

    濱口竜介の名を世界に知らしめた記念碑的作品。5人の男女の恋愛感情がもつれ合い、ほんのわずかのきっかけでさえ激しく変化する様が、緻密に構成された脚本と周到でねばり強い演出の下に、繊細に、かつエモーショナルに描かれる。そして緻密さと周到さに支えられ、偶然を超えた次元で、今や伝説となった映画の奇跡が訪れる。

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  • 何食わぬ顔(long version)

    何食わぬ顔(long version)

    2003年 / 98分/8mm(DVCAM上映) / カラー
    製作・監督・脚本・編集:濱口竜介 / 撮影:渡辺淳、濱口竜介、東辻賢治郎 / 録音:井上和士 / 音楽:David Nude、ROMAN
    出演:松井智、濱口竜介、岡本英之、遠藤郁子、石井理絵 ほか

    友人に言われるままに亡兄の遺作となる8ミリ映画を撮影する野村。彼の煮え切らない態度が周囲を戸惑わせる。

    技術的な諸々の難点を除けば(これは大学の映研で撮られた8ミリ映画なのだ)、濱口竜介が既に濱口竜介であることが驚異的だ。的確な演出とショット割り。映画と映画内映画の関係を複雑かつ緻密に構成した脚本。しかもここには、若さと仲間との親密さから来る瑞々しさが溢れている。約10年振りに観られる幻のバージョン。

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  • 親密さ

    親密さ

    オールナイト

    2012年 / 255分(途中休憩あり)/ HD(Blu-ray上映)/ カラー
    製作:ENBUゼミナール / 監督・脚本:濱口竜介 / 撮影:北川喜雄 / 編集:鈴木宏 / 整音:黄永昌 / 助監督:佐々木亮介 / 制作:工藤渉 / 劇中歌:岡本英之
    出演:平野鈴、佐藤亮、伊藤綾子、田山幹雄 ほか

    ともに演出家であり、恋人同士でもある令子と良平は互いに傷つけ合いながら舞台劇『親密さ』初演を迎える。

    4時間を越える大作だが、ENBUゼミナールの演技コースの修了作品としてスタートした企画である。映画と映画内の舞台劇の関係においてだけでなく、それぞれの中でも、現実と虚構が複雑、微妙に交錯し続け、虚実の彼岸にあるリアリティーの核心が胸を揺さぶる。美し過ぎるラストが、岡本英之の音楽とともに脳裡に焼き付く。

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  • Friend of the Night

    Friend of the Night

    オールナイト

    2005年 / 44分 / DVCAM / カラー
    製作:岡本英之 / 監督・脚本・編集:濱口竜介 / 撮影:濱口竜介、松本浩志 / 録音:佐々木亮介 / 助監督:野原位
    出演:鈴木里美、岡本英之、大平恵、梶尾翔平、櫻木麻衣羅 ほか

    脚本家が慣れないホラー映画の発注に頭を悩ませ、「怖い話」を聞き回るうちに想いを寄せる女の過去を知る。

    最初期の『何食わぬ顔』から現時点での最新作『親密さ』まで、濱口とのコラボを継続しているミュージシャン岡本英之の依頼により、ライブでの上映のために製作された中篇。怖い映画をという要望に応えて、血も流れず、手や足も千切れないのに、本当に恐ろしい作品となっている。岡本の何食わぬ顔、そして少女が体験する悪夢(トラウマ)

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  • 永遠に君を愛す

    永遠に君を愛す

    オールナイト

    2009年 / 58分 / HD(Blu-ray上映) / カラー
    製作:竹澤平八郎 / 監督:濱口竜介 / 脚本:渡辺裕子 / 撮影:青木穣 / 照明:後閑健太 / 録音:金地宏晃 / 美術:原尚子 / 編集:山崎梓 / 助監督:佐々木亮介 / 音楽:岡本英之
    出演:河井青葉、杉山彦々、岡部尚、菅野莉央、天光眞弓、小田豊 ほか

    結婚式当日の花嫁、永子は幸福の絶頂…のはずが、永子には婚約者・誠一に言い出せない秘密があった。

    秀れた監督でもある渡辺裕子の脚本は、普通に映画にすればこの上なくウェルメイドなスクリューボール・コメデイーとなったはずだ。しかし濱口は普通ではない。生まれ落ちたのは、凍りついた笑いと不思議な解放感が共存する怪作である。ヒッチコックの『スミス夫妻』に匹敵するこの異常事態を、あなたは見ずにいられるのか?

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東北三部作

  • なみのこえ 新地町

    なみのこえ 新地町

    2013年 / 103分 / HD(Blu-ray上映)/ カラー
    製作:サイレントヴォイス / プロデューサー:芹沢高志、相澤久美 / 監督:濱口竜介、酒井耕 / 実景撮影:北川喜雄 / 整音:鈴木昭彦

    2012年1月から2012年6月に行われた福島県新地町に暮らす6組10名への対話形式インタビューの記録。

    震災後約一年、原発事故後の不安と海の汚染や海産物の風評被害の下にある福島県新地町という、被災地の中でも相当に微妙な状況の下で、濱口と酒井は、『なみのおと』の特異な方法論を先鋭化・徹底化させながら、複雑なものを単純化せず、分かり易くせずに提示し、観客に共有させようと、あるいは共有の困難さを示そうとする。

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  • なみのこえ 気仙沼

    なみのこえ 気仙沼

    2013年 / 109分 / HD(Blu-ray上映)/ カラー
    製作:サイレントヴォイス / プロデューサー:芹沢高志、相澤久美 / 監督:濱口竜介、酒井耕 / 実景撮影:佐々木靖之

    2012年1月から2013年3月に行われた宮城県気仙沼市に暮らす7組11名への対話形式インタビューの記録。

    人口が減り続け復興の未来の見えない気仙沼だが、未来への希望を人々は微かに見ようとしている。濱口と酒井は『なみのおと』の方法論を受け継ぎながらもそこに着目し、震災に直接関わる内容を超えて、被災者の過去をも掘り起こそうとする。喋るのが苦手な人にあえてカメラの前で語らせることで、確かに見えてくるものがある。

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  • うたうひと

    うたうひと

    2013年 / 120分 / HD(Blu-ray上映)/ カラー
    製作:サイレントヴォイス / プロデューサー:芹沢高志、相澤久美 / 監督:濱口竜介、酒井耕 / 撮影:飯岡幸子、北川喜雄、佐々木靖之 / 整音:黄永昌 /
    助成:文化芸術振興費補助金 ほか

    宮城県に暮らす語り手による東北地方伝承の民話語り。これは同時に彼らを訪ね続けた聞き手の記録でもある。

    酒井耕との共同監督作品で被災地に取材しながら、ここで濱口と酒井が取り上げるのは民話(昔話)を語る老人達である。取材やインタビューの経験から触発されたこの作品では、語りは聞き手の反応があってのコミュニケーションであることが浮き彫りにされ、さらには映画とは何かの根源さえも問われることになるだろう。

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作品解説:木村建哉 (映画研究者)

特別上映作品

『不気味なものの肌に触れる』劇場公開記念として開催される濱口竜介プロスペクティヴin Tokyo。セレクション上映作品とは、『不気味なものの肌に触れる』出演の主演俳優による“いま最も映画館で観たい1本”として選ばれた3作品である。濱口竜介監督作品群と共に、オーディトリウム渋谷のスクリーンを飾る。

  • ハロルドとモード / 少年は虹を渡る

    染谷将太セレクト

    ハロルドとモード / 少年は虹を渡る

    1971年 / アメリカ / 91分 / 35mm / カラー / 日本語字幕 ©1971 Pramount Pictures Corporation
    監督:ハル・アシュビー / 製作:コリン・ヒギス、チャールズ・B・マルヴェヒル / 脚本:コリン・ヒギンス / 撮影:ジョン・A・アロンゾ / 美術:ミカエル・ハラー / 音楽:キャット・スティーヴンス / 出演:バッド・コート、ルース・ゴードン、シリル・キューザック、チャールズ・タイナー、エレン・ギア、ヴィヴィアン・ピックルズ、エリック・クリスマスほか

    ハル・アシュビー監督初期の傑作で、熱狂的ファンをもつ'71年製作のラブ・ストーリー。

    生きる意味を見失った19歳のハロルドは、狂言自殺をしては周囲の驚く反応を見て楽しんでいた。ある日、ハロルドは79歳の老婦人、モードと出会う。生きることを楽しむモードを愛するようになったハロルドは、モードと結婚することを決意。幸せ絶頂のハロルドとモードだったが……。

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  • 一条さゆり濡れた欲情

    渋川清彦セレクト

    一条さゆり 濡れた欲情

    1972年 / 日本 / 69分 / 35mm / カラー ©日活
    監督:神代辰巳 / 脚本:神代辰巳 / 企画:三浦朗 / 撮影:姫田真佐久 / 美術:土屋伊豆夫 / 音楽:世田のぼる / 録音:建部日出夫 / 照明:直井勝正 / 編集:鈴木晄 / 助監督:上垣保朗 / スチル:寺本正一出演:一条さゆり / 伊佐山ひろ子 / 白川和子 / 粟津號 / 高橋明 / 小見山玉樹ほか

    日活ロマンポルノ初期を代表する1本で、成人映画では初めて各種ベストテンに名を連ねた記念碑的作品。

    大阪の下町野田にある吉野ミュージック劇場で、一条さゆりの引退興行には若いストリッパーはるみも出演していた。はるみは関西ストリップの女王・一条さゆりに対抗意識を燃やす新人ストリッパー。レスビアンショーから脱皮し、一人立ちするという目的がある。そんなはるみには、やくざの恋人大吉がいた。

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  • 花様年華

    石田法嗣セレクト

    花様年華

    2000年 / 香港 / 98分 / 35mm(Blu-ray上映) / カラー / 日本語字幕 ©2000, 2009 Block 2 Pictures Inc. All Rights Reserved.
    監督・脚本:ウォン・カーウァイ / 撮影:クリストファー・ドイル、リー・ピンビン / 美術・編集・衣裳:ウィリアム・チャン / 出演:トニー・レオン、マギー・チャン

    ウォン・カーウァイ監督がカンヌ国際映画祭最優秀男優賞のトニー・レオン、マギー・チャン主演で贈る互いに伴侶を持つ男女の大人の純愛ドラマ。

    1962年、香港。新聞社の編集者であるチャウと商社で秘書として働くチャン夫人。二人は同じアパートに同じ日に引っ越して来る。やがて、二人は互いの伴侶が不倫関係にあることに気付き、秘密の時間を共有していく…。

  • 濱口竜介
  • セレクション上映作品
  • 染谷将太『ハロルドとモード / 少年は虹を渡る』
  • 渋川清彦『一条さゆり濡れた欲情』
  • 石田法嗣『花様年華』